2017年 02月 26日
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私が学生時代に描いていたような、いわゆる「抽象画」は現在の私の心にはほとんど訴えかけてこなかった。私はそのようなタイプの絵画にもう心を惹かれなかった。今の時点から振り返ってみれば、私がかつて夢中になって描いていた作品は、要するに「フォルムの追求」に過ぎなかった。青年時代の私は、フォルムの形式美やバランスみたいなものに強く惹きつけられていた。それはそれでもちろん悪くない。しかし私の場合、その先にあるべき魂の深みにまでは手が届いていなかった。そのことが今ではよくわかった。私が当時手に入れることができたのは、比較的浅いところにある造形の面白みに過ぎなかった。強く心を揺さぶられるようなものは見当たらない。そこにあるのは、良く言ってせいぜい「才気」に過ぎなかった。