寄宿舎からのみならず学校自体からの放校と学校当局の態度が決定されかけたとき、主舎監である「青虫」が、彼のために弁護したのであった。何処か他の暗い隅にある部屋ではなく、それが「青虫」にとって最も重要なことであるが、この小図書館内へ執着した生徒の傾向はなにか未来を託するものがあると。主舎監には思われたのであった。かなり偏屈で、しかも屡々、狂熱的であることに於いて、学内でも有名であった「青虫」が、なにかしら学問の本質を力説してみると、この異風な生徒を彼がいたわることにも許容されるべき一つの理由があるような気が人々はしたのである。