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Living Well Is the Best Revenge

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ただひとり、私はグランド・ホテルのまえにぽつんと立ちつくして、ふたたび祖母のところに戻ってゆく時間の来るのを待った、とそのとき、浜の堤防のまだほとんどはずれのあたりに、奇妙な一つの斑点が動くように見えて、五、六人の小娘たちがこちらに進んで来るのを私は見たが、バルベックで見なれているどんな人たちとも違ったその様子、そのかたちは、あたかも、一群のかもめが、どこらかともなく上陸して、渚の上を―遅れたものは飛びながらまえのものに追いついたりして―歩調を合わせながらさまよっているかのようであり、ただそれが何のためにさまよっているのか、鳥の精のような娘たちにはその目的がはっきりしてるのであろうけれど、彼女たちの目にもうつらない海水浴客たちにはいっこうに不可解に見えた。
by gravity97 | 2011-01-04 21:00 | PASSAGE | Comments(0)