Living Well Is the Best Revenge

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優雅な生活が最高の復讐である

0014

首都の街区に、もう幾度目か分からなくなった冬が来ている。街路のプラタナスは、葉を散らせ尽して、既に久しい。かつて夜の中でゆらめいていた十字路に立てば、炎は地下深く埋葬され、その上を窓のない車が通り過ぎるばかりだ。

未完成の散文詩は、このように書き出されていた。それはきみと彼女の合作ともいうべき作品であり、そこには幾つもの年代と、来るべき個体の死と再生の予感に充ちみちた言葉が刻みこまれてあった。僕たちの時代を総括しようとするその最初の努力は、1970年代の丁度中間の年に、きみから僕へと手渡されたまま、この時代の中で消し去られようとしているのだが、そして実際、その紙片は僕の部屋の中でどこへ行ったかもわからなくなってしまっているのだが、僕がいま譲り受けたいと思っているその散文詩の表題はといえは、それは明るいブルーのインクを使った橘素子の伸びやかな文字で―

風のクロニクル、と書かれてあったのだった。
by gravity97 | 2013-01-22 21:28 | PASSAGE | Comments(0)

優雅な生活が最高の復讐である


by クリティック