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闇……。私は頑固な不眠症を殆ど持病のように飼っているので、どちらかといえば、深夜、闇につつまれた寝床のなかで凝つと息をひそめたまま言い知れぬ不快を噛みしめている時間がむしろ多いくらいである。手をのばして微かな不安の裡にまさぐつてみる僅かな前方も、想像し得るかぎりかけはなれた数十億光年彼方の宇宙の果てもまた同質の闇にどつぷりとつつまれている筈のこの眼前を凝つと果てしもなく眺めつづけていることは、私にとつて、いきな猿臂をのばし、むずと掴んで締めあげたいほど忌まわしい痛憤の時間なのであるが、と同時に、それは、そんな自分を噛みしめて何物かを自分のなかに掘つてみる限りもなく抑えに抑えた時間、まあいつてみれば、一種の《静謐な歯ぎしり》の時間なのでもある。
by gravity97 | 2010-04-25 20:30 | PASSAGE | Comments(0)